飛行機の構造



飛行機も昔とは様変わりしました。
第一次世界大戦で発達の緒に就いた飛行機は、第二次世界大戦で
飛躍の時を迎え、東西冷戦期には一般人の想像を超えるものに
なりました。 そのかなりの部分をコンピューターの発達が支え
たのですが、空力、材料、製造などの多くの分野の進歩も見逃せ
ない事実でしょう。
では第二次大戦くらい迄の構造的な変化を見て行きたいと思います。
ただ、私も専門家ではありませんので、詳しく知りたい場合は
専門書なりをお薦めします。


第一次大戦の頃の機体は主に2枚の主翼を持つ複葉機が多く、中には
3枚羽の三葉機や、1枚主翼の単葉機のはしりもありました。
鋼管のフレーム構造に、布や木の合板をかぶせ胴体としてました。
こういう構造を鋼管羽布張り(こうかんはふばり)と言います。
複葉は主翼の上下方向にかかる力を分散して受ける事ができるので
当時の初歩的な設計や材料、製造技術などでも強度は十分でしたが
単葉機とするにはとりわけ強靭な材料と、その加工技術の発達を待つ
事が必要でした。

初期の単葉機の内部図ですが、胴体後部の部分の内部にX字型の
構造が見えます。 金属は曲げる力に弱く、引っ張る力に強い性質
があります。 針金は簡単に曲がりますが、引きちぎろうとしたらまず
無理ですよね。 骨組み同士を金属の棒などでX字型に結んでやる
ことで非常に強靭な構造になります。 これは骨組みにかかる力を
X字型に組んだ金属棒への引っ張る力とし分散する構造だからです。
こういう構造を、トラス構造と言います。
現在でも身近なところでは、たとえば東京タワーや、送電線の鉄塔の
構造、住宅の耐震設計などに見る事ができます。
このトラス構造が飛行機の強度の上昇に大きな役目を果たしました。
またコクピット前方から主翼へ何本かの線が出ています。
これは主翼の構造強度が十分でない為、鋼線で補強している苦肉の
策です。 これは意外なほど空気抵抗が大きくマイナスになりました。



第二次大戦末期のホルテン229無尾翼ジェット機の主翼付け根にも
トラス構造が見えます。 主翼のように大きな力がかかり、その上取り
外し式にしなければならない事情の場合は、構造上の強度を考えなけ
ればならなかったのだろうとか思います。



次項

解説見出しに戻る