この1機 <<二式複戦 屠龍>>
屠龍の戦闘方法
最初、長距離援護戦闘機として開発された屠龍は、後に事実上の
夜間戦闘機として活躍の場を見いだす。
長距離援護など、速度、火力、防弾性能、航続距離の不足などに
より不可能な上、援護すべき飛行機も戦況の推移と共になくなっ
ていった。
最初、九四式37mm戦車砲を搭載され、後に37mmホ二〇三
を搭載された本機は、その背中に12.7mmホ一〇三を2門、
機首にも諸口径の機銃を装備しており、日本軍航空兵力の中にお
いて、実用戦闘機としては最も強力な火力を持っている。
機体性能や火力の強大さはとりもなおさず、その目標を大型機に
おいていることを現している。
そして事実上、その大型機とはアメリカ陸軍航空隊、第21戦略
爆撃兵団のB−29であった。
実際の攻撃方法は大別して2種類。
1つは後上方より急降下、B−29の機尾に潜り込み水平飛行
に移行、降下の余勢を利したまま、背中の上向き砲を撃ち上げる。
狙いは主翼の付け根。 図の青線の航跡をたどる。
もう一つは前方より肉薄し、最大では音速を越える相対速度を維持
しつつ必殺の37mm砲の射弾を叩き込む。 狙いはコックピット。
図の赤線の航跡をたどる。 高度や速度差、彼我の戦力差などで
離脱方向は異なる。
実際は高度や速度の優位を確保することが難しく、とにかく肉薄して
の37mm砲攻撃、となってしまうことが多かった。
特集見出しに戻る
次項