無謀な命令の発令



どう考えれば良いのだろうか?
私でも絶対に理解しきれないと思う。
ただ、忘れてはならない「重みを持った歴史」であることを、
もう1度思い出してもらえるなら良いかと思う。

第2次大戦中の戦略・戦術で、唯一、2度と採用がされることの
無いであろう戦術が「体当たり攻撃」であると思う。
まずは、この滅茶苦茶な攻撃命令が出た背景を見ていきたい。

日本が劣勢となり、航空機の性能、量、パイロットの技量、全て
が米軍にとって優勢となった時、日本は太平洋での制空権を
失った。 これはとりもなおさず、通常の攻撃が極めて困難に
なることを意味する。
出撃の都度、大量の仲間が未帰還になる状況では、第一線で死闘
するパイロットの内に敵愾心を通り越した殺意が芽生えても
なんらおかしく無い。(1)
そして攻撃は接近必中攻撃を夜間に行うと言う、極めて危険な
方法の採用を余儀なくされていく。(2)
そんな折りに、米軍のレイテ上陸が始まった。 迎撃する日本
でも、捷1号作戦が発動。 特攻の生みの親とされる大西中将
が着任。 大和以下の栗田艦隊が出撃する。
この作戦を成功させる条件は何を差し置いても、米第38機動部隊
の空母戦力を使えなくすることである。 1000機以上の搭載機
を誇るこの部隊が動き出せば、空母を持たない栗田艦隊などひと
たまりもない。(3)
ほんの数日で良い。 沈めなくても良い。 一時だけ空母の甲板
を使えなく出来れば良い。 大西中将はそう考えたと言われている。



たった1機の天山艦攻に向けられる弾幕の嵐。
命令を出しただけの上官には、1度で良いから
この弾幕をくぐってもらいたい。 


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