その戦果3


721空は「桜花」専門部隊として結成された初の部隊である。
制空戦闘機隊もその配下に置き、練達の搭乗員も配置している。
絶対に戦果をあげうる部隊として期待がよせられていた。
(これを期待すること自体が、もはやおかしいのではあるが。)

進撃途中に多くの戦闘機が発動機故障、燃料系トラブルで引き返し
てきてしまった。 直掩隊の長機、神崎大尉機もトラブルが発生、
引き返した。 長機に続き多くの機体が引き返す。
レーダーピケットに突入する頃には、直掩機はわずかに30機。
「最低必要」な数の四割足らずとなっていた。
基地からの無電連絡に対して、18機の陸攻からは一通の無電も
発せられなかった。 桜花特攻にたいする無言の抗議とうけとれる。

第58機動部隊がレーダーで60海里先の「多数の国籍不明機」を
発見したのが午後1時47分。 空母ホーネット、ベローウッドを発艦
したF6F戦闘機48機が、優位の上空から襲いかかった。
F6F攻撃開始と同時に陸攻隊の上と下についていた直掩機がパッと
散る。 陸攻が裸になる。 後はF6Fの独り舞台だった。
陸攻も桜花を捨てて、戦闘態勢をとる。 手近の雲を目指す。
海面ギリギリに這う。 しかし無理だった。
わずか15分で全てが終わった。


ホーネット艦上から撮られた一葉。
手前のF6Fがホーネット搭載機である。
向こう側は特攻機を撃墜した瞬間の空母ベニントン。

次項
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