航空機の運用と砲の運用


前置き(?)が長くなったが、第二次大戦時の巨砲が全くの無駄な
物かと言うとそうとは言い切れない。
当時のレシプロ機は天候の影響を非常に受けやすく、雲に突っ込んだ
だけでも墜落しかねない場合もあったのだ。
それに対して、戦艦の主砲はどんな天候下でも発砲が可能であった。
航空優勢と巨砲の廃退が始まっていたものの、列強はいずれも、大型の
戦艦を保有していた。 アメリカがアイオワ級の戦艦を竣工したのは
戦勢が有利に傾きはじめた1943〜44年である。
同級艦は戦争後半に空母機動部隊と行動を共にし、40cmの砲弾を
日本軍の頭の上に降り注がせた。
いわゆる対地艦砲射撃である。
航空機による制空権さえ確保できれば、大型艦砲ほど効率の良い安全な攻撃
手段は無い。 イギリスの戦艦などは日本本土の湾岸都市まで砲撃している。
アメリカ艦も、台湾、硫黄島、沖縄などに、豪雨のような艦砲射撃を
実施している。 この砲撃があったからこそ、海兵隊の上陸が可能だった
と言っては言い過ぎだろうか?
戦艦の巨砲は、これが一番適した運用方法である。
だからこそ、航空優勢が確立された後も、列強は大型戦艦を保有し続けた
のである。 さすがに現在はその姿を消しつつあるが、それでも91年の
湾岸戦争で発砲している「ミズーリ」の姿は他を圧倒するモノがあった。
40cmなどと言う巨砲は海上艦艇だからこそ効果的に運用できるのであって
陸上での効果的運用は不可能である。
100t戦車ですらまともに動けないのに、発射システムだけで2000tに
達する巨砲を陸上で効果的に運用できる訳がない。


英戦艦キングジョージ5世
1945年の時点ではイギリス太平洋方面艦隊の旗艦であった。


米戦艦アイオワ
速力、防御力、攻撃力、射程、全てが一流で、おそらくは史上最強の戦艦。


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