名機の弱点を見る


・Me109シリーズ

おかしなMe109。 プロペラが4枚ある?
後ろのDC3の星マークから察するに、戦後の撮影と思われる。
プロペラはP51あたりの物を流用しているのだろうか?

ご存じの方も多い事でしょうが、一応、豆知識として記しますが、
いわゆるメッサーシュミットの109シリーズは「Bf」と「Me」の両方が
コードとして存在します。 元々「Bf」とはバイエリッシュ・フォルクス社
の頭文字で、「Me」は設計者のメッサーシュミット博士の頭文字です。
109に関しては「Bf」と「Me」、両方の意見があると思いますが、
私は「Me」を採用させて頂いておりますので、ご了解下さい。

・最大の欠陥、航続距離。
Me109の最大の欠点が、その航続距離の短さである。
美辞麗句や罵詈雑言を列べても仕方ないので、機械的にその原因を探る。
まず、Me109は列強各国の戦闘機の中でも、格段に小さな機体なのである。
第二次世界大戦を戦い抜いた低翼単葉単座戦闘機の中で、翼幅10m未満、
全長9m未満の戦闘機は数える程しか無く、その中でも華々しく活躍した
機体の筆頭は本機である。
しかし、小さな機体には当然ながら少量の燃料しか搭載できない。
主翼内に燃料タンクが無く、増槽タンクも後期型にしか付かないのである。
その標準的な燃料搭載量は、わずかに240リットル足らず。
艦載機としての制限を受ける「零戦」の半分以下である。
単純に計算しても、この時点で航続距離は相当短くなる。
その上、その主立った心臓部のDB600系エンジンは、大食いでは無い
にせよ、威張れる程の好燃費とは言えなかった。
これらによりMe109の航続距離は700km程しかないのである。
バトル・オブ・ブリテン当時、ドーバー海峡沿岸の基地から、イギリス首都
ロンドンまでの距離は160kmにすぎない。
往復320kmなら余裕があるように思えるが、そうはいかない。
離陸して編隊を組むロイタリング時間を計算に入れなければならない。
また、イギリス上空で戦闘状態になれば燃費は3倍にも跳ね上がる。
戦闘時間はせいぜい15〜30分。 これ以上長引けば、Me109は
燃料切れでドーバー海峡の藻屑と化すか、フランス沿岸で不時着となる。

戦術空軍用の機体としては有能であり、50日でフランスを陥落させた
功績は大きいが、航続距離の短さはあらゆる面で致命的であった。

次項

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