西部戦線1



同じ5月10日、フランス各地の空軍基地がドイツ軍の爆撃を
受けた。 ドイツ空軍はようやく第一線機を揃えた空軍と対決
する事になった。
主に自国製のMS406、D520、そしてアメリカ製のP36の
輸出仕様機ホーク75等を取り揃えていた。
その他にブロシュ150シリーズ、イギリスの助っ人ハリケーン
グラディエーターなどが揃っていた。
しかし見ての通りあまりに雑多で、整備も修理も部品の補充す
ら大変だった。
その上、まともにMe109と戦える戦闘機と言えばほとんど無い。
一番マシだったのはアメリカから来た1000馬力級のホーク75で、
フランス製機はことごとく低馬力だった。
ドイツ陸軍の侵攻阻止の為に雑多な攻撃機が飛び立つが、上空を
守るMe109にはかなわず、また陸上の対空火器の前でも被害が
続出する事になった。

このフランス戦で名を馳せたのがドイツのヴェルナー・メルダースと
アドルフ・ガランドである。
メルダースはフランス戦で撃墜される事になるが、すぐにフランスが
降伏した為に捕虜としての立場から解放され、軍務に復帰している。


メルダースを撃墜したのは、フランスのMS406であるという。
鋼管羽布張り800馬力の旧式フランス機としては大殊勲の
金星であったと言えるかも知れない。

盟友(?)イギリスのハリケーンも、当時の英仏としては強力な
戦闘機だったが、Me109との戦いは少し荷が重かった。
ハリケーンは1ヶ月の間に次々と失われた為に、いよいよフランスか
ら切迫の要求が始まる。
「もっとハリケーンちょうだい。」
防空用の機体まで集めて送り続けたハリケーンだが、戦況いよいよ
利あらずとなり、追加どころかついに全面撤収と言う事になった。
史上最大の「撤収」作戦。 ダイナモ作戦の発令である。
一般には、ダンケルクの撤退、と言った方が通りが良いか。


もうダメです。 これ以上ハリケーンをフランスに投入しては
肝心のイギリスが守れなくなる。 と言うわけで全面撤退。

遊覧船や漁船はもちろん、民間のヨットや艀まで動員しての大作戦
の上空援護には最新鋭のスピットファイアも参加。
また、とにかく飛行機を、と言う切羽詰った状況から、とても実戦
には耐えれそうに無い機体も投入。


デファイアント戦闘機原型機。 単発複座の機体で、後方旋回式
銃塔を持つが前方固定機銃が一丁も無い。 それでも撤収する船
団上空で、ドイツの攻撃機を撃墜し援護に一役は買った。
しかしMe109には手も足も出ず、すぐに第一線から退いた。






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