ライト・サイクロン


第2次大戦中の米軍の空冷エンジンの双璧の1つがライト・サイクロン系
エンジンである。 ライバルのP&Wのワスプ系エンジンと空冷の座を
常に争っていた。
ライト社の始祖は、かのライト兄弟までさかのぼる。
ライトフライヤーのライト兄弟が設立したライト社は、すぐにカーチス社の
大合併に入り、カーチス・ライト社となった。
大戦時はP−40などを制作したあのカーチス社である。
サイクロン系エンジンが端緒についたのはこの頃で、1931年にサイクロン
名の最初のエンジンである、ライトR−1820が製造されている。


ライト・サイクロン R−1820
単列9気筒ながら、離昇出力1350馬力に達する1000馬力級エンジン。
排気量は約3万cc。 これは14気筒栄エンジンの1割増しの排気量。
このクラスでも、4発のB−17にも搭載されていた。
また、SBDドーントレス艦上爆撃機や、DC−3(C47輸送機)にも
搭載されており、かなりの活躍ぶりである。
直径は栄の約1150mmに対して1400mmとかなり大きい。
ソ連にもライセンス供給され、主にシュベツォフ系として生産され、後年
の冷戦が始まる頃までの基礎を支えた。(「支えてしまった」か?)


ツインサイクロン R−2600
R−1820を複列14気筒化したエンジンで、文字通りツイン形式の
サイクロンエンジンである。 画像でも後列気筒に空気が当たりやすい
設計になっているのがわかる。 排気量は約4万3千ccにアップ。
海軍のカーチスSB2Cヘルダイバーや、グラマンTBFアベンジャー、
陸軍のノースアメリカンB−25ミッチェル、ダグラスA−20ハボック
などに搭載され、比較的小型の攻撃戦力に多く採用されている。
ラバウル周辺でのB−25の輸送艦狩りなどを考えると、日本艦を最も
多く撃沈したエンジンと言えるのではあるまいか。


次項


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