艦載対空火器



対空火器の射程
当時もっとも艦船に装備されていた、日米両軍の主な対空火器を比較して見ると、

日本軍
89式40口径12.7cm連装高角砲

 対空射程10000m 、 戦争後期には航空機追従能力に不足が生じる
 大和などに搭載されたシールド付は同一砲。 駆逐艦搭載主砲の3年式とは別物。

96式25mm三連装機銃

 対空射程3500m 、 実質の有効射程は1000m。 単装・連装も存在
 シールド付きは、大口径砲の砲撃の爆風や、敵機の機銃掃射から射手を守る為。

アメリカ軍
38口径5インチ連装砲Mk32

 対空射程11000m 、 多くの艦船が装備した対艦対空両用砲、単装も存在
 戦争後期はVT信管を装備し、加害率が飛躍的に向上。

56口径40mm4連装機関砲

 対空射程10000m 、実質の有効射程は3800m 、レーダー連動
 4連装基は連装基を並列に配置したもので、正確にはレーダー射撃管制装置と連動。

エリコンSS20mm機関砲Mk4

 対空射程4000m 、 有効射程1200m。
 通常は射手と装填手で扱う。 中にはジャイロ式照準器を装備した物もあった。

これらあたりが主だったものだろうと考えます。

対空火器に限らずほとんどの射撃兵器には、とにかく最大限弾の届く最大射程と、
有効弾が期待できる有効射程、などが存在し、ある距離以内では逆に有効弾が期待
できない最低射程も存在する。 概ね、大きな口径の砲は最大射程も有効射程も大
きいが、最低射程も大きくなり、近距離では効果が期待できない事が多い。
逆に小口径では、そもそも遠くまでは届きにくい。
艦載の対空砲はこれらの射程を考慮して、大小ミックスで装備される事が多く、そ
れは現在でも同じである。 ミサイル装備の巡洋艦でも、わずかな数の小口径銃を
装備している例も多い。 最近のそういった小口径銃は、対小型艇用の武器と言う
意味合いが大きい。


文字通り「鉄の要塞」とも言えそうな、米戦艦ミズーリの対空火器群の斉射。
何をどれだけ装備しているか考えるのも無駄そうな、ハリネズミのような砲身の数。
これらが艦装備のレーダー射撃管制装置と連動し、VT信管付き砲弾を発射する。
日本軍の時限調定式信管に比べて、VT信管は目標までの射程距離に関わらず、電
波の傘の中に物体が入ったら爆発するので、その命中率は比較にすらならない。



次項

特集見出しに戻る